平日は仕事と勉強をして、土曜日は一日中授業があるので休みは日曜日しかない。今週の日曜日は宿題があまりないので読書をして過ごした。
90年代にWindowsとインテル連合にやられて死にかけていたIBMを救ったルイス・ガースナーの自伝、
巨象も踊るを読んだ。
IBMのケースはビジネススクールで何回も出てきて、非常に示唆に富んでいて勉強になる。ビジネススクールに入る前から、IBMは潰れかけてたけど、ハードを売る会社からソフトを売る会社に上手く移行して今の隆盛に至ってるんだってのは知ってたけど、なんでだめになってなんで復活できたのかその裏の出来事は理解してなかった。
本を読んでるとルイス・ガースナーがどんな問題にぶつかってて、それをどうやって乗り越えたかがリアルに描かれてて面白いし勉強になる。どのページを読んでもケースディスカッションに使えそうなんだけど、一番見事だと思ったのは、上手く協調戦略を使ったってとこだと思う。
それまでは川上から川下まで垂直統合して、全てのセグメントで競合と戦ってたけど、ルイス・ガースナーは強みを発揮できる部分のみに集中してその他を切り捨てて競合との競争を辞めてしまう。例えばアプリケーション・ソフトの開発を辞めて、競合のアプリケーション・ソフトをIBMのサーバーで動かせるようにする。
アプリケーションソフトメーカーにとっては、自社のソフトを動かすためにはサーバーが必要なんだけど、競合となるIBMのサーバーなんかは絶対に使わないわけで、IBMからするとアプリケーションソフトで負けると、サーバーでも負けてしまうという構造になっていた。
IBMはアプリケーションソフトビジネスから撤退して、競合のソフトを自社のサーバーで徹底的にサポートすることにした。こうなると、ソフトメーカーとIBMは競合から補完的生産者に変わる。
ソフトメーカーからすれば、自社のソフトを動かすためにはどこかのサーバーが必要で、自社のソフトを徹底的にサポートしてくれるIBMのサーバーが一番顧客に勧めやすい。IBMは赤字のアプリケーション・ソフトに掛かっていたコストを削減することが出来て、アプリケーションソフトメーカーにも選んでもらえることでパイが広がる。顧客は選択肢が増えて川上に対する交渉力が上がる。
こんな感じでゲームのルールを変えることで競合を補完的生産者に変えてしまって、プレイヤーが全員ウィンウィンになるっていう戦略が素晴らしいと思った。
この他にもいろんな事例が出てくるんだけど、ポジショニング理論、ゲーム理論、創発的戦略、RBVなんかのフレームワークとその理論的背景を学んだばかりなので、ルイス・ガースナーがとった打ち手をフレームワークを用いて分析しながら読むことが出来て練習になった。毎日勉強してるものの、本当に身に付いてるのか不安だったけど、こういう本を読むと考えが深くなってるのがわかって自分の成長を感じることができるね。
それにしてもタイトルを巨象も踊るって和訳したのはいまいちだな。
いい本を読むことが出来て、ツイてるなあ。幸せだなあ。満たされてるなあ。ありがたいなあ。
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